Junichiro

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盗み聞き翻訳アプリが欲しい

いつもお馴染み、上野のドトールにて。隣の中国人男性二人連れが、なんだか興味深い。話の内容はわかりません。しかし、格好と、持ってるものと、笑い方と、話し方と、時々挟まれる日本語から、なんとなくどんな人間か分かる。気がする。40代。1人は小太りと、1人は痩せ型。オシャレ、かどうかは個々人の趣味によるのでわからないが、2人ともオシャレでありたい人であることは確か。よく周りを観察している。痩せ型君は紳士服店で買い物をした紙袋を持っていて、その買い物時に店員か周りにいた客の反応かはわからないが、その一部始終が面白かったらしく、思い出し笑いを混ぜながら、話している。小太り君も時々笑いながら、おー、とか、ほーとか言いながら、相槌を打つ。で、ここから大事だ、という風に痩せ型君は態とらしく声を潜めて話し出す。で、テーブルの上で紙ナプキンとコップを何かに見立てて、位置を動かしながら、思いついた儲け話の説明を始めた。笑って聞いていた小太り君が、途中で、少し声を大きくして、紙ナプキンの動かし方を変えた。「こっちの方がいいじゃん」みたいな。痩せ型君は「ドゥイ、ドゥイ、ドゥイ」と。盗み聞きたい。何を思いついたのだね。気になって仕方がないのは、何か、同僚と話しているときの自分によく似ているからです。

一番カッコいいからや

これも師匠の言葉なんですけれども。飽きもせず、よく書けるもんだなと思います。自分でも。同じ人の話ばかり。これまでに2つの質問の答えとして聞いたことがある気がします。ひとつは、なんで海軍入ったんですか?の答え。もうひとつは、新聞記者になった理由の答え。新聞記者になった理由については、親父がやってたからや、とか、金がなかったからや、とか、若い男がいなくてすぐに雇ってくれたからや、というのも聞いたことがあります。全部本当なんでしょう。お父さんやってたし、コネあったし、手っ取り早かったし、まあ、カッコイイし。みたいな。一方で、海軍に関しては、カッコイイから志願したということ以外聞いたことがありません。背が低い奴はなれないんや、とか、お前みたいなブサイクがなれるか、とか、何度も言われました。カッコイイ男であるために志願したんです。陸軍はまったく検討しなかったそうです。価値観に合わなかったのでしょう。師匠の場合、カッコイイか、カッコ悪いか、は大事な行動指針です。カッコイイの価値観も人によって違う訳ですが、師匠の場合、カッコ悪いこと我慢してやるなんて事はありえません。そもそも我慢は嫌いや、とよく言ってるので、間違いないです。カッコいいか、わるいかで行動を決めると、背伸びや見栄を張る機会が増えるので、大変です。しかし、価値観が日々洗練されることでしょう。人間がはっきりしてきますよ。

明日から来い

なんでも自己流でやっていた20代も、後半に差し掛かった頃。自分のやっている事が、所詮誰かの焼き直しにしか思えなくなり、個性を求めて己を見つめ直そうとすると、毎回同じ結末になるという、どこにでもあるような壁に、私なりにぶちあたっておりました。その頃「伝統芸能はいいなあ」とか「誰か師匠につきたいなあ」なんて甘〜い考えを密かに抱いていたわけですが、何年か後、芝居をやめて、「今回の人生はしばらく面白いこともないかも〜」とかふらふらしていたら、「わしゃ、焦っとんのや」と凄む、当時85歳の師匠に会ったわけです。「やりたいことがたくさんあるのに、俺にはけっこう時間がない。お前、俺の代わりにやる気あんのか、どうせないだろ」達観するでも、凄むわけでもなく、忙しいのに時間がないことにイライラしている85歳を見て、とても驚きました。「やりますよ」「じゃ明日からこい」「2週間待ってもらえませんか?」「なら、いい」「明日から来ます」と言って、ヒヤヒヤしながら1週間後に出社したら、「誰や?」と。これが師匠との出会いです。3年間は何も考えず、言われる通りにしようなんて思ってたら、「やりたいことなんて元々何もなかったんじゃないか?」と思えるくらい、起きている時間は受けた指導を消化するだけで、時間が過ぎて行きました。かつて望んだ弟子入りは、こんなに辛いものかと、笑いがこみ上げるほどでしたが、同じように砂を舐める兄姉弟子たちがいたので、なんとか、やってこれました。師匠は、今日も焦ってました。